人権を侵害したり、差別したりしない企業の体制づくりとは!

 21世紀は人権の時代と言われています。
人権の尊重や差別の排除が国際的に大きなうねりとなって動いています。
社会から取り残されないためにも、企業は人権尊重に取り組む必要に迫られています。人権について、説明します。

【目次】

1 人権について
1-1. 人権とは
1-2. 人権と企業について
2 企業が人権尊重に取り組む視点
2-1. 人権を守る認識と行動
2-2. 潜んでいる権侵害にも配慮
2-3. 個別の課題
2-3-1. 人権を無視した不当な労働
2-3-2. 人権侵害している取引先
2-3-3. インターネット上での人権
2-3-4. 女性の人権
2-3-5. 高齢者の人権
2-3-6. 障害者の人権
2-3-7. 外国人の人権
2-3-8. 刑を終えて出所した人の人権
3 人権尊重の体制整備の視点
3-1. 経営者の人権尊重の意思決定、宣言、明文化
3-2. 体制整備
3-3. 運用
4 まとめ

【本文】

1 人権について

1-1. 人権とは

 人権とは、人種・民族、宗教、出身地、性別、年齢、障害者、身体的特徴などに関係なく、人に与えられた平等、自由、安全に生活していくための基本的な権利のことです。
この人権を阻害する要因を取り除いて、人権を尊重する社会を作っていくことにあります。
企業は、その企業にふさわしい人権を尊重し、差別のないようにすることです。
人権という新しい課題に取り組むことになります。

 日本においては、憲法などで人権の保障や擁護がされています。
外国に比べて、人権を無視した著しい行為が少ないようです。
しかし、性別(女性)、年齢(高齢者)、障害者、外国人、宗教、感染症などによる差別の問題がまだ生じています。
これらは法令によって禁止されている行為であり、差別が行われないにすべきです。

1-2. 人権と企業について

 企業は、営利を目的とする組織ですが、社会を構成する一員の「企業市民」でもあります。
企業は、社会的責任や社会貢献が重要視されて、人権にも無関心ではいられなくなってきています。
企業活動がグローバル化やボーダーレス化にともない、海外で活発に活動している企業があります。このような企業においては、その国や地域の個々の文化の違いがありますので、人権の国際的基準に関する理解も重要となってきています。
今や、企業にとっては、企業の活動に関係する社内外の人々の人権を尊重し、差別を排除する企業風土を作ることことです。

 身近なことから始めるといいでしょう。具体的で理解しやすいからです。
例えば、「お茶出しは女性の仕事」、「力仕事は男性の仕事」といった固定的な性別役割分担意識は、差別の一つと言えるでしょう。

2 企業が人権尊重に取り組む視点

2-1. 人権を守る認識と行動

 企業内で仕事をするすべての人が差別を受けないようにすることです。
企業は、その企業に関係する社内外の人々の人権を尊重します。
企業は、直接的にも間接にも人権を侵害することのないように配慮していくことです。
このように、企業は人権の尊重と差別の排除に関して認識と行動をする必要があります。

2-2. 潜んでいる人権侵害にも配慮

 人権侵害とはわかり難いものや、いじめと同じように表に出ず潜んでいることもあります。可能な限り、疑問視してあぶり出してみるといいでしょう。

 その例として
・企業活動の中での行為や環境が人権侵害にあたらないか
・直接的でなくても人権侵害を招くような環境を作り出しているか
・その環境を作り出すことに加担していないか
・人権を侵害するような行為や環境ができてしまった場合には、その実態を調べることです。例えば、人権侵害を受けた人、それに気づいた人に状況を報告してもらいます。
などがあります。

 人権尊重する活動と同時に、人権侵害の発見・対処する取り組みも必要となります。

2-3. 個別の課題

 企業が人権尊重に取り組む課題として、いくつか個別にみてみましょう。

2-3-1. 人権を無視した不当な労働
無報酬労働や休日出勤を強制的にさせていることもあります。
強制労働ではないが、これらの労働を黙認している風潮がまだあります。
この二つは、働く人の人権を無視していることになります。
労働の実態を監視する仕組みが必要でしょう。

 上司が部下に強制して仕事をさせるパワー・ハラスメント(パワハラ)は、表に出にくい課題です。

2-3-2. 人権侵害している取引先
企業が取り引きをする相手(仕入先、顧客など)が人権侵害をしていたらどうでしょうかね。
取り引きを続けるか止めるかと言う問題に直面します。
相手の企業に人権侵害であることを知らせて、是正するしないは相手方の問題です。
人権尊重の立場からして、相手方が是正しなければ、取り引きを停止することになります。

2-3-3. インターネット上での人権
スマートホン(スマホ)の急激な普及によりソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用も拡散の一途をたどっています。IT技術を使ったインターネット上での通信です。
インターネット上では、人権侵害になりかねない行為が多発しており、新たな課題となっています。
これは、インターネットを使い、不特定多数の人々に匿名で大量の情報を発信できるからです。
SNS上では、無責任な他人への誹謗・中傷や、プライバシー侵害などが挙げられます。

 情報の発信者はいたずらでしていても、被害者から見たら深刻な問題もあります。
インターネットを利用するにあたっては、IT社会にふさわしい正しい人権感覚が問われています。

2-3-4. 女性の人権
人類の歴史を人権的にみますと、長い間女性は男性より低い存在と見られてきました。
日本において男女同権が保障されたのは、第二次世界大戦後のことです。法制度上では女性の人権を守るさまざまな動きがあり、女性の地位はかなり向上しました。まだ、女性であることで差別に悩み、人権を侵害されるたくさんの女性が存在します。
現実には女性の就業環境、家事・育児・介護の負担、セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)、ドメスティック・バイオレンス(DV)など、様々な問題があります。

 この背景には、固定的な性別役割分担意識などの考え方が、未だに払拭されていないようです。
具体的には「男は仕事、女は家庭」や「育児や介護は女の仕事」、あるいは「女らしさ」の強要など、私たちの社会や日常生活の中にまだまだ根強く残っています。

 新たな女性の活用では、ワーク・ライフ・バランスという働き方と労働環境づくりも出てきています。

2-3-5. 高齢者の人権
総務省の統計によれば平成28年9月15日現在推計で65歳以上の高齢者の 人口は3461万人となり、総人口に占める割合は27.3%となりました。人口と割合の両方で過去最高とのことです。
4人に1人は65歳以上の高齢者です。この高齢化が今後も進展されています。

 高齢者の中には、豊かな経験や知識がありながらも、年齢を理由に就業や社会的活動への参加が制限されています。高齢者の人権問題が起きています。
企業としては、高齢者の豊かな経験や知識が十分に尊重され、活用されるような環境づくりを進めることが大切です。高齢者の側も、社会との関わりについて前向きな意識をもつ必要があります。

2-3-6. 障害者の人権
企業は、障害者に対して十分な理解と配慮をもって、就労の機会を与える必要があります。
厚生労働省の省令では、従業者が45.5人以上の企業は、障害者を従業員の2.2%雇用する義務があります。満たない場合の罰則規定もついています。
障害者を特別視するのではなく、障害者に合わせた仕事・労働時間・動きやすいなどの労働環境を整備して、他の従業員と一緒に仕事をすることです。

2-3-7. 外国人の人権
言語、宗教、習慣等の違いから、外国人を巡ってさまざまな人権問題が発生しています。
外国人のもつ文化や多様性を受け入れ、尊重することが企業に望まれることです。
日本は少子高齢化で労働人口が減少し続けています。外国人の雇用は選択肢の一つです。

2-3-8. 刑を終えて出所した人の人権
刑を終えて出所した人の人権にも配慮する必要があります。
刑を終えて出所した人であることを理由に、就職や社会復帰の機会から排除することは、人権にかかわる問題です。
刑を終えて出所した人に対する偏見や差別意識を解消して、その社会復帰の一環として企業が雇用する必要があります。

3 人権尊重の体制整備の視点

 企業は、人権尊重に関する体制整備とその運用をします。
自社のレベルに応じて、優先順位を決め、年々レベルを向上していくことです。
何をするかは、次に例示します。

3-1. 経営者の人権尊重の意思決定、宣言、明文化

 ・先ず、人権尊重することを経営に柱の一つにすることについて、経営者が意識改革することです。
・人権尊重の精神に基づいて事業活動をする。
・人権尊重しない企業とは取り引きしない。

3-2. 体制整備

 ・法令遵守や人権尊重に関する責任者と担当者を設置する。
・人権尊重の意識改革の啓蒙・研修教育をする。意識調査から始めるといいです。
・内部通報窓口や人権相談窓口を設置する(法令遵守と同じ)。
・PDCAサイクルで取り組む。

3-3. 運用

 ・自社にあった取り組みをする
・続けることが大切
・周囲と協力し、取り組む。

4 まとめ

 人権尊重は、3つの基本原則(企業倫理、法令遵守、企業統治)と連携して取り組むことといいと思います。

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