「備えあれば憂いなし」中小企業の危機管理の取り組みとは?

 人的災害や自然災害はいつ起きるかわかりません。
いつ起きるか予測がつかない災害に、徐々に危機管理の体制を整えていくことが肝要です。
企業は自社や地域の特徴を踏まえて危機管理に取り組むことです。

ここでは、危機管理に関する基本的な考え方を述べます。

【目次】

1 労働災害の事故率
2 危機管理の範囲
3 中小企業庁版の事業継続計画(BCP)
4 中小企業のBCPの取り組み方について
5 BCPの取り組む対象
6 まとめ

【本文】

1 労働災害の事故発生率

 労働災害の事故発生率を示す「ハインリッヒの法則」という法則があります。
この法則は、アメリカの技師ハインリッヒ氏が労働災害の事故発生率を分析して、「1対29対300」という比率を導き出しました。
この法則は、1件の重大な事故・災害が発生したときには、これまで軽微な事故・災害が29件発生し、”ヒヤリ・ハット”を感じた件数が300件の割合で発生しているというものです。
ヒヤリ・ハットとは、事故や災害につながる事件にヒヤリしたり、ハットしたりしたことです。
ヒヤリ・ハットの事件が発生しないように未然に防ぐことが、重大が事故や災害を発生させないことにつながります。

 未然防止の例としては、プレスなどの危険な作業は手が入らないように対策を取ったり、危険な場所があれはそこに立ち入りできないようにすることです。

2 危機管理の範囲

 危機管理は、段階によって取り扱い方が異なります。
危機の段階としては、大枠として危機前と危機後があります。これを図解しますと次図のようになります。

 危機前には、防災と減災・備えの2つがあります。防災は、事故が起こらないように対策をすることです。減災・防災は、災害が発生した被害の度合いを少しでも少なくし、災害発生に現場対応ができるように食料や住環境確保などの準備しておくことです。

 危機後は、対応は現場の救護や片付けの取り組みがあります。その後の復興は、復旧などの取り組みです。

 危機前の危機管理をリスクマネジメントと呼び、危機後の危機管理はクライシスマネジメントと呼びます。「危機管理=リスクマネジメント+クライシスマネジメント」となります。

 甚大な災害や大規模な災害は、地域の行政機関や専門機関と連携をとることです。

3 中小企業庁版の事業継続計画(BCP)

 大企業に比べて、中小企業は経営資源が少ないので、危機管理への取り組む余裕はありません。

 そのため、中小企業庁は、中小企業向けの事業継続計画(BCP)策定運用指針(ガイドブック)を策定し、BCP作成の支援を行っています。
これは、中小企業の取り組み状況をチェックして、入門、基本、中級、上級と段階的に取り組めるようになっています。段階別にガイドブックをダウンロードできます。
企業は自社の能力に応じてレベルで、BCPの取り組みが出来ます。
中小企業庁のガイドブックのURLは次のとおりです。

 http://www.chusho.meti.go.jp/bcp/

 また、中小企業庁では、企業の取り組みレベルに応じたBCP策定の仕方、セミナーや専門家の派遣などをしています。年度によって、セミナーや専門家の日程など異なります。地域の中小企業支援センターでお尋ねされるといいです。
都道府県別の中小企業支援センターのURLは次のとおりです。

 http://www.chusho.meti.go.jp/soudan/todou_sien.html

 中小企業庁は、企業の取り組みレベルに応じたBCP策定の仕方、セミナーや専門家の派遣などをしています。年度によって、セミナーや専門家の日程など異なります。詳しくは、度道府県別(または市区町村)の中小企業支援センターなどにお問い合わせ下さい。

4 中小企業のBCPの取り組み方について

 企業は、無理をせずにBCPに取り組むことです。
無理をしますと、長続きせず、途中で断念したり、本業に影響が及びかねないからです。

 基本的なBCPの取り組み方を次に示します。
①BCPは自社の能力に応じたレベルから徐々にレベルを上げていくことです。
②「危機管理の範囲」図の段階別に、重要度に応じた体制を敷くようにします。
③実践ではそのタイミングとスピードが要求されますので、訓練などをすることです。
④行政機関や専門機関などとの連携を取れるようにします。

 先ず、経営者がBCPとは何かを理解することから始めることがいいと思います。

5 BCPの取り組む対象

 BCPとしての取り組む対象は災害ばかりではありません。
企業内で起こる不祥事等があります。

 BCPの取り組む対象を次に示します。
①反社会的勢力との関係を一切持たないこと
②サイバーセキュリティ
③不祥事、事故
④災害(労働災害・交通事故・火事などの人為的災害、地震・豪雨・落雷・河川氾濫・高潮・土砂崩れなどの自然災害)

なお、反社会的勢力と関係を持つと、取り引きを中止されることや、金融機関からの借入ができないこともあります。

 一度、上記の4項目について一考されるといいでしょう。

6 まとめ

 BCPは、先手必勝です。備えされば憂いなしです。
経営者がBCPに取り組む姿勢と実際に取り組み始めると、見方が変わってきます。

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