従業員は、企業において自主的に活動する意識ある唯一の財産です。
従業員が働きやすい体制や環境を整える必要があります。
それには、企業として次の2つの取り組む課題があります。
課題1:従業員の能力を高め、多様性、人格、個性を尊重し、公平な処遇を実現すること
課題2:従業員の健康と安全に配慮した働きやすい職場環境を整備すること
です。
この課題に向けての取り組みを説明します。
【目次】
1 雇用制度
2 労働条件
3 労働安全衛生
4 人事制度・人材育成
4-1. やる気を起こさせる人事制度
4-2. 人材育成
4-3. 評価の仕組み
5 コミュニケーションシステム
6 まとめ
【本文】
1 雇用制度
従業員は、自分の生活を安定にするため、1年でも2年でも長く勤めいたいという気持ちがあります。
企業としても、新たに人を雇うよりも、仕事を知り経験ある従業員を少しでも長く使いたいです。
雇用制度としては次のようなものがあります。
・正規・非正規の雇用制度
・新卒雇用制度
・中途採用制度
・定年再雇用制度
・ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)雇用制度
などがあります。
人権尊重の面からしも、従業員の多様性、人格、個性を尊重し、差別や不合理な格差のない雇用制度が要ります。
2 労働条件
企業は、人を雇用する時に労働条件を提示して、労働協約を締結します。
雇用される人は、労働協約によって給与が保障されるので安心して仕事に精を出せます。
労働協約の中味は、業務内容、労働時間、休日、休暇、賃金、残業制限など労働条件です。
企業は、同時に社会保障制度と連携して、労働災害保険、健康保険、公的年金制度、退職金制度などに加入する手続きをとります。
特に、女性の長期活用や再活用からワーク・ライフ・バランス(注記参照)制度を設ける企業もあります。その中には
・妊産婦の保護や育児・介護等に係る支援制度
・仕事する場所が自宅であったり、仕事する時間が任意に選択できるところもあります。
(注記)ワーク・ライフ・バランスとは、「仕事と生活の調和」と訳され、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を持ちながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期中や更年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる」ことを指します。
企業は、労働協約に遵守実行することで、雇用を確保できます。
雇用された人は、労働条件が事実と相違する場合、労働契約を解除するか、労働基準監督署に相談ができます。
3 労働安全衛生
企業は、職場における従業員の安全と健康を確保し、働きやすい職場環境の形成を促進しなければなりません。
従業員が、健康で仕事ができるように、職場を安全衛生であるように維持することが要求されます。
その内容は
・身体的・精神的に安全で健全な管理体制(ハラスメント、メンタルヘルス、バリアフリーに配慮)
・従業員に対する安全衛生教育
・従業員の健康を保持増進するための健康診断
・従業員を危険や健康障害から守るための労働環境の整備と労働災害防止対策
・機械や危険物・有害物に関する危険予防や進入規制
などがあります。
労働安全衛生に関したやることがたくさんあります。業種業態に対応が異なり、企業規模により安全衛生主の責任者や担当者を置くなどの対応が要ります。
4 人事制度・人材育成
4-1. やる気を起こさせる人事制度
中小企業は、年功序列になりやすい、場当たり的な組織編成、アットホームな雰囲気経営など雰囲気があります。
優秀な人材を確保するには、従業員一人ひとりが「成果(実績)」や「努力(過程)」が報われる制度が必要です。
中小企業の従業員は、「賃金の高さ」よりも、「納得感」を重視する傾向があります。
等級、賃金、評価の3つを織り込んだ人事制度が必要となります。
4-2. 人材育成
従業員のキャリア形成や能力開発を支援する仕組みが必要です。
漫然とした教育では人は育ちません。目標とは課題を持たせて取り組むことです。
その一つの方法として、目標管理制度(注記参照)を導入します
それは、一人ひとりの業務、特徴、将来性などから、目標を設定します。
その目標に向けて、OJTとOff-JT教育・指導、特別の研修・訓練、通信教育などがあります。
人には、成長する欲求があり、目標達成に向けた自己実現欲求は最高の欲求です。
(注記)目標管理制度は、従業員一人ひとりが、目標を設定し、達成度合いで評価を決める制度です。個人の目標と企業・職場の目標を関連させることと、自己啓発の目標も時には必要です。
上司から一方的に指示ではなく、企業の経営方針や事業計画などを配慮して、個人としての目標を考えることが大切です。
「やらされ感」でなく、組織の成功に貢献する参画意識を持たせることができるので、個人個人が意欲的な取り組みができます。
4-3. 評価の仕組み
従業員は、仕事を通じて発揮した能力や努力について公平に評価されることを望んでいます。
従業員の業績や目標管理の実績を勘案する評価制度にします。
評価しっぱなしでは、本人は満足しません。評価の理由と次年度に向けて目標設定に活かすことです。
公平な評価や処遇は、従業員に働く意欲を醸し出します。
5 コミュニケーションシステム
従業員を評価する上で、経営者・上司と従業員のコミュニケーションのあり方が重要となります。
中小企業は、大企業にっ比べて従業員数が少ないので、経営者と従業員の間で直接コミュニケーションが容易に行えます。
コミュニケーションには、ギブ&テイクの関係が必要です。
企業側からは、従業員に対して経営方針、事業計画等を説明します。
従業員側からは、自分の仕事や職場環境などでの改善や苦情などの提案をしてもらう制度を設けることです。
もう一つは、前掲の目標管理の取り組みです。
上下関係・横関係の双方向の情報提供が、いいコミュニケーションシステムとなります。
6 まとめ
従業員にとっては人事制度や教育制度は、昇給や昇格に影響しますので、労使の真剣勝負の場です。
将来に金の卵を産むいい人材を育てることが企業の務めとなります。
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