社長の仕事は会社を持続進展する仕組み創り①利益

 社長の仕事は会社を持続進展するための仕組みを作り続けることです。

 初回は、どのように利益が発生しているのかを知る必要があります。現在の状況が分からなれば、仕組み創りができませんからね。

 今回は、利益の話をします。利益が会社を持続し進展させる源泉となるからです。

 なぜかと言いますと、借入金の返済、株主の配当以外に、新顧客開拓、新事業、設備投資、IT投資、人材採用などにお金が充当できます。当然、資金繰り(キャッシュ・フロー)が順調に回ります。

 これが、利益が少ないとか、赤字になると、資金繰りが苦しくなり、終には倒産してしまいます。

 これにはいろいろな理由や原因がありますが、端的に会社が提供したい製品やサービスが売れず、資金不足となってしまい、支払不能に陥るからです。または、早めに店じまいすることもあるでしょう。

 中小企業庁の「倒産の状況」データをグラフ化してみますと、次のとおりとなります。

 このグラフからは、倒産件数が年々減少していますが、年間8,000件以上の会社が倒産しています。

 利益を出して持続進展する会社にするには、会社の商品やサービスがどのくらい利益を出しているかを知る必要があります。この利益を見てみましょう。

【目次】

1 損益計算書の利益
1-1. 損益計算書の利益
1-2. 利益の意味
1-3. 売上に対する利益率
2 利益率の検証
2-1. 商品別の利益
2-2. 商品・顧客別の利益
2-3. 顧客・商品別利益
2-4. 事業所別または店別の利益
3 利益の改善
3-1. 管理会計とは
3-2. 利益の改善
4 まとめ

【本文】

1 損益計算書の利益

1-1. 損益計算書の利益

 先ず、次のような損益計算書があったとします。

 この表から、利益というものが付くのが5か所あります。
上から順に、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前利益、当期利益です。

 これらの利益の算出は次式で行われます。
売上総利益=売上高  -売上原価
営業利益 =売上総利益-営業費及び一般管理費
経常利益 =営業利益 +営業外収益合計-営業外費用合計
税引前利益=経常利益 +特別利益合計 -特別損失合計
当期利益 =税引前利益-(法人税+住民税+事業税)

1-2. 利益の意味

 売上総利益は、会社の本業である商品やサービスの付加価値で稼いだ利益のことです。
この売上総利益は、粗利益または粗利とも呼ばれることもあります。

 次の営業利益は、会社の本業で稼いだ利益のことです。

 経常利益は、会社が通常の事業活動で必要な営業外収益を加減した利益のことです。

 税引前当期利益は、特別損益を加減した利益です。

 当期利益は、税金を引いた当期の最終利益で、会社が自由に使える原資となります。

 これが、前述したように、借入金の返済・株主への配当金の支払い、新規顧客開拓・新事業・設備投資・IT投資・人材増員などの投資できる資金の充当に使えます。

1-3. 売上に対する利益率

 表1に基づいて、売上高に対する各利益の利益率を算出すると表2のとおりとなります。

 この表は、売上高を100とした時、利益がどれくらいかの比率を計算したものです。
会社の収益性がどの部分に表れているかがわかります。

 売上総利益率は、祖利率とも言い、数値が高いほど利益の高い商品を販売していることなります。

 売上高営業利益率は、数値が高いほど本業で稼ぎが大きく、収益力があるということになります。

 どの利益率も、同業種のデータと比較することも必要ですが、自社の商品やサービスの特異性などもあり、自社の過去のデータの推移を見ることが重要です。この結果は、事業をどのように持って行くのかは、社長の大事な仕事の一つです。

 売上総利益率、営業利益率だけでは、何が課題なのかが分かり難いこともあります。これを商品や顧客に分解してみることが必要であります。これを2項で説明します。

2 利益率の検証

2-1. 商品別の利益

 前掲の損益計算書の会社において、売上高を分解し、商品別の売上と原価を表3のとおりとします。

 この表の右側に、商品別の売上利益、売上利益率、個別営業利益率を算出したものを追加しました。

 個別営業利益率は、表3の脚注にあるとおりの算式で計算しました。
営業費及び一般管理費を商品別に案分することが出来に難いので、表1に表示した売上高営業費及び一般管理費率25%を一律、売上利益率から差し引くことにしました。

 この表は、売上高の高い順に商品a、b、c、dの順に並んでいます。
売上高の一番多い商品aの個別営業利益率が一番低いです。この商品は成熟期を迎えているのか、何らかの理由で価格を抑えているのかもしれません。その理由や原因を明らかにする必要があります。

 一方、売上高の一番低い商品dは、個別営業利益率が一番高いです。特殊な商品か、もっと拡販する必要があるでしょう。

2-2. 商品・顧客別の利益

 次に、商品別に顧客の個別営業利益率を見てみましょう。

 商品別に顧客別の売上高、売上原価を表4のとおり設定し、それから売上利益、売上利益率、個別営業利益率を算出し、表4に同時に表示しました。

 表4の商品別合計の個別営業利益率は、表3の個別営業利益率と同じです。

 この表から、一番初めに目が引き付けられるのは、商品aの売上高が一番多い顧客①の個別営業利益率がマイナスになっていることです。売れば売るほど赤字が増えることになります。

 他の顧客に比べて、販売価格を低くしている可能性があります。何らかの理由があるようです。 原因を究明し、対策を講じる必要があります。

 このようにして、商品ごとに顧客に対する売価が異なります。個別営業利益率の違いを分析することによって、対応する課題が見つかってきます。

2-3. 顧客・商品別利益

 表4の商品別・顧客別の分類を、顧客別・商品別にした利益率を表5のように作り変えました。

 表4と表5とを見比べながら検討すると、対応する課題が見つかってきます。

 会社の政策、営業の片寄り、地域市場の片寄り、商品のライフサイクル、営業力などと合わせて検討していくといいでしょう。

2-4. 事業所別または店別の利益

 複数の事業所や店舗があれば、それごとに表1から表5までのものを作ると、新たな課題が出てきます。

3 利益の改善

3-1. 管理会計とは

 決算用の会計は財務会計といい、過去の実績を表すもので、法人税等の申告の基になるものです。
財務会計から作られる年1回の損益計算書による利益状況の把握では、利益改善をするには遅すぎます。利益を創出するチャンスロスとなるからです。

 そのためには、その会社の合う管理会計を導入することです。この管理会計は、現在と将来から利益を見るものです。会社の独自の方法で決めればいいことです。
月ごとに製品別・顧客別などの原価計算から売上利益率、個別営業利益率を把握できるようにします。これは、表4や表5を年から月別に算出します。でも時間と労力がかかります。

 売上利益を出すには、原価が必要です。原価は、製造業であれば製造原価、商業であれば仕入原価を使えばいいです。
製造原価は、月次決算だけでは把握しにくので製品別の予算原価などを便宜的に使います。この予算原価は、見積りの基準にもなるものであれば、精度は高くなります。

3-2. 利益の改善

 表4や表5のものが出来れば、利益率の低い商品・顧客、利益率の高い商品・顧客によって、今後の利益率の向上や新規顧客の開拓などの改善策が浮かんできます。

 この作業は毎月行う必要はありません。いつでも算出できる月次決算をしておくことが大切です。

4 まとめ

 利益把握と分析には、時間と労力が掛かります。決算書の損益計算書で対応することは、拙速を要する時には間に合いません。3項のように月次決算を行い、いつでも売上利益、個別営業利益を算出できる体制にしておくことです。

 利益の出にくいものや利益の出やすいものを、商品と顧客の組み合わせで、課題を見つけて対処することが、会社にとっては大きな利益となる言えます。

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