経営は経営者一人ではできない!

 これまでになく、企業に影響を及ぼす現象が広範囲に生じています。これらのことを踏まえて経営を行う必要があります。経営者(社長)としては、組織を管理し、通常業務をこなし、意思決定を行うには限界があります。

目次
1 経営計画立案の環境分析
1-1. マクロ環境分析(PEST分析)
1-2. 業界環境分析(3C分析)
1-3. 戦略環境分析(SWOT分析)
2 最高経営者としての社長の役割
2-1. 意思決定
2-2. 実行
2-3. 経営管理
3 社長(最高責任者)の心構え
3-1. 社長のアドバイザー
3-2. 社長のリーダーシップ
3-2. 社員の育成と未来志向

1 経営計画立案の環境分析

1-1. マクロ環境分析(PEST分析)

 経営計画を立案するのに、企業を取り巻く諸々の環境変化を考慮する必要があります。
 マクロ環境分析から始めるのがいいでしょう。

 PEST分析は4つのマクロ環境を分析する方法です。次の英語の頭文字をとったものです。
 P:Politics(政治)
 E:Economy(経済)
 S:Society(社会)
 T:Technology(技術)


 P(政治)は、政治や法律の面から分析を行います。
 政治・政権、法律・法改正・条例、税制、制度などの要因があります。
 現時点(2019年8月)では、米中貿易戦争、10月からの消費税10%化、8月28日から韓国をホワイト国除外などがあります。

 E(経済)は、経済面からの分析を行います。
 経済成長率、株価、金利、為替、商品相場価格、個人の消費動向、消費スタイル、産業構造、などの要因があります。他に、異常気象・温暖化・自然災害などの影響も含みます。
 円高により輸出産業にはマイナス、輸入産業にはプラスに働きます。
 デジカメやスマホにより、手軽に写真が撮れると、写真館は衰退化し、斜陽案業になります。
 温暖化による海洋の温度が上がり、台風の発生が増える。北極・南極の氷が溶け、水面が上がる。経済、社会、政治にも影響してきます。
 神奈川県の鎌倉や横須賀の海岸にクジラの死体が上陸。体内に小さなプラスチックが無数にあった。プラスチックの海洋投棄によるものです。脱プラスチックの動きが出てきます。プラスチックを作っている企業、使っている企業にはなんらかの影響がでます。

 S(社会)は、社会面からの分析を行います。
 世界的には人口増加と食料不足。日本では人口減少と少子高齢化、過疎化、生活スタイル(消費動向、ライフスタイル、趣味、ペット)、流行・世論、社会保障制度(年金・健康)、医療、教育、文化、宗教など要因があります。
 人口減少により消滅する都市が予想されます。
 子供、高齢者、趣味、ペットなどに特化したビジネスが出てきます。
 労働時間の短縮から、働き方が変化します。余裕時間の過ごし方や副業化が増えます。

 T(技術)は、技術面からの分析を行います。
 技術革新(ハード、ソフト、情報)、特許、インフラなどです。
 IT(情報技術)の発展は、進歩が著しいです。個人がインターネットで商品の売買ができる。
 相手を見ながら話せるテレビ電話やテレビスマホがあります。


1-2. 業界環境分析(3C分析)

 企業が属している業界の環境分析に3c分析の手法があります。

 3C分析は3つの立場から業界環境を分析する方法です。次の英語の頭文字をとったものです。
 C:Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)です。

 Customer(市場・顧客)は、市場環境の分析や顧客分析を行います。
 業界の市場規模、市場の成長性、顧客ニーズ、顧客の消費行動・購買行動などの把握があります。

 Competitor(競合)は、競合相手の分析を行います。
 競合各社の現状シェア・推移・特徴・業界ポジショニング、新規参入・代替品の脅威です。
 注意を要する競合企業・特徴(主要顧客層、商品特性)・予想される行動。

 Company(自社)は、自社環境の分析です。
 自社の経営理念・ビジョン、既存事業・自社製品の現状(売上、シェア、商品ラインナップ、戦略、など)
 既存ビジネスの特徴・強み・弱み、ヒト・モノ・カネ・技術・情報の強み・弱み、資本力・投資能力などがあります。


1-3. 戦略環境分析(SWOT分析)

 3C分析による事実と解釈・意見を区分して、戦略を立てるSWOT分析を行います。

 内部環境分析には、プラス要因・Strength(強み)、マイナス要因・Weakness(弱み)
 外部環境分析には、プラス要因・Opportunity(機会)、マイナス要因・Threat(脅威)
 の4つです。

 内部環境分析(自社のS:強み、W:弱み)の項目は、認知度やブランド力、価格・品質・納期、資源、立地、サービス性、技術力などがあります。

 外部分析(市場や社会の情勢などのO:機会、T:脅威)の項目としては、市場規模や成長性、競合の状況、、景気や経済状況、政治の状況、法律などがあります。これは、マクロ環境分析と業界環境分析を反映します。


 これらの環境分析は、専門の人に委ねることになるでしょう。

2 最高経営者としての社長の役割

 社長の役割は、企業を活力ある組織に維持し続けることです。

 社長としては、何をすべきかです。次の2つがあります。
①経営計画等の意志決定をし、決定したことを実行させること
②それを円滑に行えるように経営管理の体制を整えること
です。

2-1. 意思決定

 企業における最高意思決定機関として取締役会があります。
 企業が小さいほど、取締役会は、議長である社長の高説を聞いて終わることが多いようです。協議をする場として機能が働いていないことがあります。

 取締役は、営業担当とか製造担当などを兼務することがあります。
 取締役営業部長の肩書だとしますと、営業部の成果を高めることに専念しがちです。取締役として、企業を全体的に見て、意思決定に加わるより、果された役目の実行に傾きます。取締役会では、営業部の成果・言い訳、実行するに当たり足りない事項を要求しがちです。

 意思決定に必要なのは、全社的及び担当部門全体の意思決定が出来る人が欲しいです。
 意思決定にすべき事項の立案は、取締役でなくてもできます。例えば社長の直轄として、何人かを置くこともあります。これらの人は、企業が小さいほど、自分の日常業務を持っています。
 大事なのは、意思決定できる立案と決定に責任がとれるような力量が要ります。

 意思決定の立案には、経営資源である人、物(設備・ノウハウ・特許・固有技術など)、金、IT(情報技術)と外部情報(人脈、協力企業等)などを活用しします。

 立案の方法は次の3つがあります。
①製造部門や営業部門のように数字で表せる計画
②管理部門のように数字で表せない計画
③どこの部門にも属さない方針・計画(経営理念、規則の改廃、事業目的、組織、人事、技術・ノウハウ導入、新ビジネスなど)

 不足する資源があれば、これを補充することも計画に含みます。
 ITの導入・維持管理・機能向上の計画にかんしては、立案と意思決定する能力が必要です。

2-2. 実行

 担当する取締役は、限られた経営資源の中で、決定された事項の目標実現に向けて邁進します。
 目標を達成のため、時には期末に理不尽な行動をとることがあります。必ず次の期首に反動が出て、実績が落ち込みます。毎年度、この繰り返しを黙認している企業があります。担当する部門の取締の自己満足か、取締役会の機能を果していないことにつながるでしょう。


2-3. 経営管理

 意思決定と実行がきちんと行うためには、経営管理の体制を整えることです。
 PDCAの管理サイクルを回すことです。

3 社長(最高責任者)の心構え

3-1. 社長のアドバイザー

 企業の大きさや繁栄は、社長の器により決まります。
 社長は、自分の器を大きくしていく自助努力が必要です。
 社長は、過信、傲慢、不公平を指摘してくれる人を見つけてアドバイスを受けることです。

3-2. 社長のリーダーシップ

 社長は、命令をするのではなく、リーダーシップで組織を引っ張っていくことなのです。
 リーダーシップとは、理念や目的に基づき組織の統率していくことです。
 リーダーシップには、組織が無限の可能性を発揮させる可能性を秘めています。


3-2. 社員の育成と未来志向

 社長1人では経営が出来ません。社員1人ひとりの協力があってこそ、経営ができるのです。
 取締役や社員は、社長のイエスマンではありません。社長と同じく、考え、働く人です。即ち考働する人なのです。貴重な存在であります。

 経営を通じて社長は、経営を通じて自分の夢が実現できるのです。
 社長は、人材と言われる取締役や社員の協力を得ます。

 取締役や社員にも、社長と同じく夢があります。
 これらの人々は、能力を高めようとする向学心とシャレン精神があります。
 人材を育成することで、企業の活性化につながります。
 社長は、取締役や社員に感謝の気持ちを持つことが重要です。

 人が失敗するのは当たり前です。失敗を減点しないことです。失敗は成功の母と云われています。
 失敗しない社員は月並みな社員か、逆に群を抜く特別優秀な社員です。
 月並みな社員のレベルアップを図ることも大事です。

 取締役や社員の失敗は、すべて社長の責任でもあります。

 

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