経営基盤を強くするには、企業の体質を変えていくことです。

 企業を取り巻く内外の環境が、絶えず変化しています。
企業にとって、その変化の兆しを見つけて、企業の体質を変えていくことです。 兆しに対応することで、新たな販路先を見つけるとか、新たな製品・サービスを開発するとか、などがあります。
その変化の兆しを見逃し、見誤ると、後塵を拝することになります。

【目次】

1 企業体質とは?
2 経営基盤の強化とは?
3 古い体質や悪い習慣から脱皮するには?
3-1. 利益を無視した取り引き
3-2. 品質を無視した製造
3-3. 経営者の決意と断行
4 企業の体質改善の進め方①5C
5 企業の体質改善の進め方②5S
5-1. 5Sとは
5-2. 5Sの解説
6 まとめ

【本文】

1 企業体質とは?

 人によって異なりますが、暑さや寒さに弱いとか、風を引きやすいとかの体質があります。

 これと同じように、企業にも体質があります。
企業によって異なりますが、環境の変化によるものと、恒常的なものとがあります。
環境の変化に対応する例としては、暑い時は冷たい物やスタミナをつける食べ物が好まれます。寒い時は、体を温めるものが好まれます。
恒常的な例としては、資金不足や人材不足があります。これが長く続くと行き詰まってしまいます。
環境の変化や恒常的なものに対応していくことが、経営基盤の強化につながります。

2 経営基盤の強化とは?

 企業体質を改善するためには、経営基盤を強化することになります。
経営基盤の強化は、最終的はは、負債を減らし、利益・利益率を高めることなのです。

 高い利益率のある企業には、次のような特徴があります。
①企業理念が明確になっている。
②利益を投資(人材、技術開発、仕組みづくり、IT化、設備など)に使っている。
③企画力(管理、製造、営業などの提案)が旺盛である。
④完成品、最終製品の比率が高い。
⑤製品開発力が強い。
⑥取引先が多く、主力取引先の依存度が低い。
⑦賃金が高い。
⑧資金調達力が強い。

 恒常的な悪い体質を直し、環境の変化に対応しやすい体質に変えていくことになります。

3 古い体質や悪い習慣から脱皮するには?

3-1. 利益を無視した取り引き

 卸業のA商店がありました。資金繰りが厳しいので、社長が不足分を補充し、少し余裕が出てきたら引き上げると言うことを続けています。

 取引先別の利益率を調べて見ましたら、2つの課題が見つかりました。
一つは、大口の取引先です。利益率はマイナス。仕入先からバックマージンを当てにしてして価格を決めていたのです。その後、バックマージンが非常に少なくなっていました。
二つ目は、非常に小口の取引先です。運送代を入れると利益はマイナス。しかも、会社が休みなのに、休日出勤して運んでいました

 社長は、取引先との価格交渉や取引中断をせずにいましたので、資金不足で廃業。

3-2. 品質を無視した製造

 嗜好品の食べ物を作っているB工場がありました。

 特定なC商品について、多くのものをコンベアーから外していました。不良品とのことです。
普通のものより、ワンサイズ大きめにするこだわり。不良品なので、夕方になると、工場の隅で売っていました。普通のサイズにすると、不良率はほとんどないとのことです。
お客から見たら、サイズの大きさにはこだわらず、味覚がよく、価格が手ごろならいいのです。

 社長は、その工場長のやり方を黙認。とうとう倒産。

3-3. 経営者の決意と断行

 上記の二つの例は、外部でなく、内部環境が悪くなっているのに、何らの手を打たなかったため、廃業になりました。
古い体質や悪い習慣を見つけたら、即時それを改善することです。
改善しなければ、遅かれ早かれ、資金不足で廃業になります。
経営トップの決意と断行が必要です。

4 企業の体質改善の進め方①5C

 「改善の5C」という5ステップのことです。Cは、英語の頭文字を取ったものです。

 5ステップを順に並べます。
①チャンス
②チェンジ
③チャージ
④チャレンジ
⑤チャーム
です。

 先ず、「チャンス」です。職場、街やネットで何かを見つけたら、改善するチャンスだと思うことです。
次の「チェンジ」は、改善の構想とか企画を検討して、提案し、決済を得ます。
三番目の「チャージ」は、力量不足の分を補います。該当する事柄を学習することになります。
四番目の「チャレンジは」は、提案内容に沿って、実行することです。
最後の「チャーム」は、いい結果が出て、関係者と喜びを分かち合います。

 改善の5Cは、どんなことにも応用できます。

5 企業の体質改善の進め方②5S

5-1. 5Sとは

 もう一つは、職場の環境を良くする「5S」があります。
職場環境が汚い会社は、業績が悪く、ケガ人や病人が後を絶たずに出るようです。

 5Sとは、整理、整頓、清掃、清潔、躾の頭文字です。
整理、整頓、清掃、清潔、躾と向かうほどに難易度が高くなります。
この5Sが徹底されている職場は、管理レベルが高いと言われています。

5-2. 5Sの解説

 5Sの用語を解説します。

 整理とは、必要なものと不要なものを分けて、不要なものを捨てることです。

 整頓とは、必要なものがすぐに取り出せるようにするため、置き場所、置き方、表示方法を決めて、きちんと置くことです。

 清掃とは、掃除をして、ごみ、汚れのない状態にすることです。
設備・治工具・備品などの異常を発見したら、その異常を解消します。また、危険なものがあれば、それを取り除くか、その危険を解消します。

 清潔とは、汚れのないきれいな状態に保つことです。
設備・治工具・備品などは、いつでも使える状態にしておきます。

 躾とは、整理・整頓・清掃・清潔の状態を維持することです。その上、決められたルールや規律を、決められたとおりに実行して、身に着けることです。

 5Sが徹底した職場は、ムリ、ムダ、ムラな作業がなくなり、過剰在庫もなくなり、安全な環境になります。

6 まとめ

 企業の体質を改善することは、経営基盤を強化することになります。
それには、5Cを繰り返し続け、5Sを定着することです。

でお読みいただき、ありがとうございます。